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高いバリカンを買うと満足度が高い

俺には数年おきに丸坊主期がやってくる。

今回はたしかコロナの影響か、行きつけの美容室が閉店してしまったことをきっかけに、たぶん 2021 年くらいからずっと丸坊主にしている。

前回の丸坊主期には、フィリップスかどこかの適当な電動バリカンを買ってセルフカットしていたのだけれども、このバリカンというガジェットは令和の時代に入っても、謎の形状のプラグで充電するタイプが主流で、そのためそれ専用にコンセントが一つ占有されてしまう。

これはいけない。

2021 年当時はまだ iPhone が Type-C ではなく Lightning ケーブルで充電していた時代なのだけれども、俺は Type-C ですべてのガジェットが充電できるようにしたくて、自転車のライトも Type-C で充電できる謎のメーカーのものを買っているくらいなのだ。

バリカンはどうだろうか。

ググってみると Type-C で充電できるバリカンは、有名メーカーからは出ていないものの、Xiaomi 系列のサブブランド(?)の Mijia から発売されていることを知り、すぐさま Aliexpress で注文し、数週間待ったあとにそれを手にした。たしか 5,000 円か 6,000 円くらいだった。

頭を刈ってみるとなかなかいい調子で刈れてるではないか。

Type-C で充電できるし切れ味も悪くない。そう、最初は良かった。

しかし、長い間使っていると切れ味が落ちてくる。

仕方がないので替刃を買おうと思って Aliexpress を見てみるも、公式の替刃が売っていない。うちには Xiaomi の空気清浄機もあるのだけれども、それも公式の替えフィルターが(売ってはいるもの在庫切れが多く)なかなか手に入らず苦心していた。もしかして Xiaomi はあんまり一つのプロダクトを長く使うことを想定しておらず、安いのだから本体ごと買い換えてほしいというスタンスなのだろうか。

まあ、それならば仕方ない。幸いにも Aliexpress にはサードパーティー製の替刃が売っているのでそれを買って付け替えてみた。公式よりも金属部分が少なく安っぽそうで、実際に安い。しかし、届いたそれを付け替えて刈ってみると、切れ味が落ちている最初の刃よりも切れ味が悪いではないか。仕方がないので、サードパーティーの刃を外し、最初の公式刃に付け替えて、だましだまし使い続けていた。祈るように、刃先に油を注入していた。

そんなある日。切れ味の悪いバリカンにほとほと嫌気がさしてしまった。

というのも、丸坊主というのはある程度の短さをキープしないと見た目が悪いので、できれば月二、理想は週一で頭を刈りたいのだけれども、切れ味が悪いバリカンと格闘しながら毎回一時間ほどかけて頭を刈るのにうんざりしてしまったのである。

そうなったらもう止まらない。

短い髪の頭をかきむしりながら、パナソニックの最上級モデルであるヘアーカッター プログレード ER-SC61 をヨドバシでポチった。約 15,000 円。Mijia のバリカンが三台買える。

届いたパナソニックのハイエンドなバリカンを手に頭を刈ると「バリバリバリ」という音とともに軽快に頭の毛が刈れる。切れ味は抜群だ。刃がいいのはもちろんのこと、プロバリカンと同じリニアモーター(なにそれ)を搭載しているだけはある。バリカンの語源は「バリカン・エ・マール」というフランスの機械メーカーから来ているらしいが、バリバリ刈れるからバリカンなんじゃないだろうか。少なくとも英語名のヘアクリッパーといったような軽い音はふさわしくない気がしてくる。

Type-C で充電できることにこだわって Mijia のバリカンを使い続けていたけれども、パナソニックのハイエンドに買い替えたらコンセントを一つ占有されるかわりに一時間かけて頭を刈っていたのが二十分に短縮された。そして公式の替刃も売っているので、切れ味が落ちたときにも安心だ。

切れ味の悪いバリカンと格闘していたあの日々は何だったんだろうか。

そう思わなくもないけれども「バリカンが Type-C で充電できる」という夢をくれた Mijia のバリカンには感謝しているし、未だに愛着があるので、現在は主に首から下の毛を刈る第二の人生を歩んでもらっている。