studio15

Google AdSense の広告枠の見直しをして、これからのサイト収益について考えた

見直しをした内容

高校掲示板 4K.ccアルバイト体験記 に掲載している AdSense で「デリケートなカテゴリ」をすべてブロックした。

ついでに、その他の目に余る広告を手動でドメイン単位で無効にした。(これはいたちごっこになるからあまり意味がないのだけれども)

僕のサイトの場合、コンテンツマッチ広告が主流だった昔の時代はそのコンテンツの性質上か、今までそんなにひどい広告は見なかったのだけれども、最近になって不快なコンプレックス広告が表示されているのを見つけてしまい、今回、広告枠の見直しを図ったという次第である。

もはやパーソナライズドターゲティングやコンテンツマッチよりも、無条件にコンプレックス広告を出したほうがクリック率も単価も良いのだろうか。

(そういう話は以前から聞いていたが、実際に自分のサイトの広告がそうなるとは… いや、気づいてなかっただけでずっと前から出ていたのだろう)

実際、デリケートなカテゴリをブロックしたところ、コンプレックス広告の代わりにパーソナライズされた広告が出るようになっている。

(コンテンツマッチと思われる広告はダッシュボードで確認する限り全然出ていない)

さらに「自動広告」もやめて、広告枠を手動で配置するように戻した。

自動広告機能がリリースされたとき、さっそくどのようなものか試したくて有効にしたらページが広告だらけになってしまったので、表示できる広告種別を最小限にし、ページ内広告掲載数も最小限にしていた。

(このときの体験をもとに「大田区のブログ」 という短編小説を書いた)

それから自動広告を 6 年以上運用していることになるが、相変わらず広告掲載数を最小にしても広告が多すぎるし、自動的に配置される位置も一向に自然にならないのでこれを機に手動配置に戻した。

自動化されるのは収益の最大化であって、ページ内に自然に配置されることは優先されないのだろう。

こうやって広告売上を無視して感情に突き動かされて広告枠を丸ごと見直せるのは、一人が全ての判断ができる個人サイトの強みである。

これが大手メディアであれば大変だ。

僕の場合は「広告減らしたら毎日よっちゃんイカが買えてたはずの収入がうまい棒になった(笑)」で済ませられるけれども、月間で数十万から数百万を広告で売り上げてるサイトであれば、広告を減らして収益が減れば従業員もしくは外注スタッフの人員削減へと繋がりかねない。

ウェブ広告について

ウェブ広告はひどくなる一方だ。

と言いたいところだが、実は最近のウェブ広告のことにはそれほど詳しくない。

というのもプライベートではほとんどの環境に広告ブロッカーを導入しており、PC では Edge に Adblock Plus、Android スマホでは Edge のコンテンツブロッカー(これも中身は Adblock Plus らしい) 、iPad では 280blocker を利用、YouTube は YouTube Premium に加入しているので、ほとんどのインターネット上で広告を目にすることはない。

スマホをリカバリ・新調したときに気まぐれで二三日ほど広告ブロッカーを入れずにブラウジングをしたりもするのだが、広告が多いページをあまりにも目にするので、結局すぐに広告ブロッカーをインストールしてしまうのである。

仕事用の PC には広告ブロッカーを入れてないので広告を目にする機会自体はあるのだけれども、仕事中は広告がおとなしめなサイトにアクセスすることが多く、昨今のニュースで取り上げられるような悪質広告を目撃する機会はおそらく圧倒的に少ない。

有名人の肖像を勝手に利用した詐欺広告なんかも、実際自分の目で見たことがなく、ニュースで取り上げられて知るくらいだ。

広告ブロッカーについては賛否があると思うし、実際に僕も広告ブロッカーを入れたら負けだと思っていた時期があったけれども、広告配信を介したサポート詐欺ポップアップの話などを見ると、もはや勝ち負けなどと言ってられないというか、もう負けでいいよという投げやりな気持ちだ。

どうしても広告ブロッカーに忌避感がある人は JavaScript を無効化する などのラディカルな対応も良いと思う。

広告を載せる目的

そこまで広告が嫌いであれば広告枠を全て外してしまえば良いじゃないか、自分のサイトには広告を載せるくせに広告ブロッカーを使っているのか、という声もほうぼうから聞こえる[要出典]

これらの声を受けて、というわけではないが、最近作った ツイコsonotano には広告を貼っていない。

これはホスティング環境の Vercel が非営利に限り無料プランを提供しているため、AdSense を貼るとサーバー代が必要になり逆に赤字になるという事情もあるのだけれども、新しく作ったサービスは広告と距離を取りたいので貼ってないという理由が大きい。

そして、昔に作ったサイトについても、正直なところ、僕のウェブ広告の収入は本当に日々の駄菓子代になるかどうかというレベルで、今回の広告枠の見直しを行ったことでさらに収入は減るだろう。

なので収益面では本当に広告を貼る意味がなくなっている。

ただ、プライベートで AdSense の運用をしていると、今回のようにドラスティックな広告枠の変更を試したりして、その経験が本業の方にフィードバックできたりというメリットがある。

つまり、ほとんど AdSense の運用経験のために広告を貼っているようなものだ。

いや、AdSense の運用だって今回も数年ぶりというレベルで手を入れているのだし、今はもう本業で広告枠を扱う機会はなくなっているので、どちらかというと「人が集まる良いサイトを作って広告を載せればそれで暮らせる」という夢を見させてくれた AdSense との関係を最後まで保っていたいという感傷的な気持ちのほうが強いかもしれない。

AdSense との思い出

(ここは記憶で書いているところもあるので、内容の真偽は疑わしい)

思い起こせば AdSense との付き合いも長い。

サインアップしたときのメールを漁ってみたところ、2004 年 9 月 14 日から Google AdSense を利用しているらしく、もう 20 年もの関係になるらしい。

AdSense が出てくるまでのウェブ広告は、単価の安いバナーのクリック広告や、成果型のアフィリエイト広告、あとは大手だけが自信に満ちた値付けができる月極の広告枠の販売くらいで、マネタイズしたい中小規模のサイトは収益化に苦心していた。

それが AdSense が出てから一気に変わった。

AdSense は小規模なサイトであっても申し込みができたし、従来型の広告に比べて何倍もの収益を得られると話題になった。

収益を高めたいサイトオーナーたちはこぞって AdSense に申し込んだし、僕もその一人だった。

AdSense は申し込み自体のハードルは低いものの、他の広告 ASP と同じく人の目によるサイトの品質チェックのようなものがあり、広告を載せるのにふさわしくないサイトは審査落ちしてしまう。

当時は CGM が全盛期の時代で、そういったサイトはコンテンツ内容が玉石混交になりがちなため、当時は他の広告 ASP と比べて基準が厳しい AdSense では審査落ちするサイトも少なくなかった。

とある大手のレンタル掲示板サービスは、AdSense の審査を通過するために審査時に指摘された(広告主にとってあまり愉快ではない)コンテンツを削除して再申請を繰り返していたが、ついぞ審査を通過することはなかった。

その一方で僕の運営するサイトも CGM だったが、なぜか審査をすんなりと通過した。

まだ日本ではサービスを一般開放して一年も経っていないころだったので、おそらく審査基準も手探りだったのではないかと思う。

当時の AdSense は収益の支払いが日本の銀行振込に対応しておらず、ドル建ての小切手(!)で送られてきたので、それを手数料無料で円にできるシティバンクの口座を作った。

初めて入るシティバンクは内装も銀行員もまるでホテルのようだった。

おそらく普段は富裕層を相手にしているのだろう。

今の僕であればそんな雰囲気に圧倒されて萎縮してしまうけれども、当時の僕はあまり物怖じしない性格だったので、数百ドルの小切手を片手に「ふーん、いい感じの銀行じゃん」とか思ってた気がする。

そうやってシティバンクを経由して、学生だった僕の小遣いとしては充分な額をもらっていた。

それから、僕は就職をしたり退職をしたりした後に「自分が好きなウェブサービスだけを作って飯を食べていくんだい!」と一念発起してサイトを作りまくって広告収入で暮らしていた時期もあったのだけれども、収益の柱であった Z.la という URL 短縮サービスのドメインが突然レジストリから「残念ながら、ラオス政府は1文字ドメイン名の登録を禁止しています。ラオス政府は1文字ドメイン名の登録を禁止しており、以前のレジストリ・プロバイダーは誤って1文字ドメイン名の登録を許可していました。(DeepL 翻訳)」と言われて接収されたり、広告単価も PV も下がる一方になってしまい「これじゃ暮らしていけないよ~」と泣きながら再就職を果たしたりした。

これからのウェブ収益

AdSense の思い出を書いていたら話が脱線してしまった。

昔の話はどうでもいいので、これからの話しをしよう。

正直なところ、このウェブ広告がこれから数年で改善に向かうとは思えないので、広告を載せたくないときのために他のマネタイズ手段を考えてみたい。

今のところ、僕がウェブ広告以外で中小規模のサイトの収益に貢献しているパターンは三つある。

今のところ僕は収益化を積極的に行いたいサイトを持っていないため、どれも自分のサイトで掲載したり実践しているものではなく、他のサイト・サービスに対して行っているものである。

またコンテンツの有料販売は今回は趣旨と異なるので含めていない。

まず第一に、アマゾンのアソシエイトリンクである。(これもウェブ広告の一種ではあるが商品を選んでリンクを貼れば意図しない広告が出ることはない)

アソシエイトリンクはそれをクリックした後 24 時間以内にカートに入れた商品に対して報酬が発生するため、アマゾンで何かを買うときは好きなサイトでアソシエイトリンクが貼られているのを探してそこ経由で買って収益に貢献するようにしている。

(これはアマゾンで買い物をするときにこのことを思い出さないといけない上に、最近はアマゾンではなくヨドバシを利用するようにしているのであまり貢献できていないが…)

第二に、アマゾンのほしいものリストである。

良いサイトに出会ったときは、作者の X (Twitter) アカウントなどをたどると、たまにほしいものリストを公開している事がある。

ほしいものリストはアマゾンのギフトカードを入れておけば投げ銭的にも使えるので、Buy Me a CoffeeKo-fi よりは日本で馴染みやすいと思う。

とはいえ個人的にはギフトカードを送るのに抵抗があるので、たいていは日用品か、サイトの制作に役立ちそうなものが入っていればそれを送っている。

第三に、投げ銭的サブスクリプションである。

普通のサブスクリプションは加入しないと見られないコンテンツがあったりと明確なメリットがあるが、サイトに対する定期的な投げ銭的な立ち位置でサブスクリプションコースを設けているところもある。

相当なコストをかけて運用しているサービスが、あんまり収益状態が良くなさそうなときに、応援的な意味で加入している。

これらのマネタイズは、どれも閲覧者が意識的に行う必要があり、実行のハードルが高い。

自動的に閲覧者のリソースに負担をかけてマネタイズするウェブ広告とは対極にある。

1ページだけアクセスしたユーザーからは収益を期待できないだろう。

それでも、昔の Web 投げ銭の機運 が沈静化してしまったときと今では状況が変わっているし、ほしいものリストから何かを送っている人や投げ銭的サブスクリプションに加入している人を見かける機会も増えている。

もちろん、これらは全体から見たらまだごく少数がやっているだけのことだ。

それでも、20 年前に AdSense が登場してサイトの収益化事情が大きく変わったときのように、いずれ広告以外でもこういったマネタイズ手段が定着して、悪質広告のことが思い出として語られるような時代を早く見てみたいのだ。

そんな時代が来るまでは、僕は自分のサイトの不快な広告をポチポチとブロックしておくので…

2025.03.23 追記

らくださんの記事を読み返したら「やっぱ広告って必要だよな」と思い直したので運用を変えてみた。

広告ブロッカーを検知するJavascriptコード (Braveにも対応)

人類はWebを破壊する広告ブロッカーとどう共存するべきか|らくだ

ブラウザのお気に入りと Feedly から OPML をエクスポートして、こんな感じのコマンドを打つと AdBlock Plus 向けのカスタムリストが作成され、ドメインごとに広告を許可するリストが作れる。

cat favorites.html feedly.opml | grep -o 'http[s]\?://[^ ^"/]+' | sort | uniq | sed 's/https\?:\/\///' | sed 's/^/@@||/' | sed 's/$/^$document/' | sed '1s/^/[Adblock Plus 2.0]\n/' > allow.txt

出来上がった allow.txt をどこかのサーバーに上げて、フィルターリストとして読み込ませれば、好きなサイトにはちゃんと広告が出るようになる。

2025.10.16

その後、そもそも広告が出るサイトをパソコンであまり見る機会が無くなったので Adblock Plus を使わなくなった。