サービスをよく乗り換えている話と、Pocket から Raindrop.io に乗り換えた話
Simplenote から Notesnook に乗り換えたり、Google から DuckDockGo に乗り換えて Google に戻ったり と、最近やたらとサービスを乗り換えているが、今回もまたその手の話である。思い起こせば、十数年間使っていた WordPress から Tumblr に乗り換えたのが一年半くらい前で、その後にも 数年間使っていた Netflix から(その後退会したが) U-NEXT に乗り換えたり、(ブログには書いていないが)二十年ほど利用していたドメイン管理を Value-Domain からさくらと Cloudflare に移したり、十数年間使っていた Twitter から Threads に軸足を移したりと、わりと長い期間使っていたサービスをばんばん乗り換えている。そもそもウェブサービスというものは気軽に乗り換えられることが大きなメリットであるはずなのだから、より良い選択肢があるのであればもっと気軽に乗り換えて良いはずなのに、昨今のウェブサービスはソーシャル性が高すぎるゆえに乗り換えづらくなっている。毎週のように To-Do リストのサービスがメディアで紹介され、もはやサービスの利用が手段ではなく目的になっていたんじゃないかという時代が良かったとは言わないまでも、使っているサービス(ここでは仮にそのサービス名を A… ではなく X とする)に対する不満を X 上で延々と書いている人などを見ると「X なんか抜け出して、インターネットという大海原でもっといいサービスを見つけに行こうぜ!」と言いたくなってしまう。しかし X からは人間関係をエクスポートできないのである。かなしみ。Fediverse に期待したい。
で、ここからが本題。
四年ほど前から Pocket を使っていた のだが、いくつかの不満を感じ続けていたので、移行先のブックマーク管理サービスを検討して、最終的に Raindrop.io に落ち着くことになった。(検討時には Saving sites: Pocket’s bookmarking app and its alternatives - The Verge を参考にした)
まず、Pocket はもともとのサービス名が Read It Later だったことからわかるように、基本的に未読管理のためのサービスだ。一応、タグやコレクションなどで分類できるようにはなっているのだが、能動的に使おうとしないと使わなくて済んでしまう機能なので、普通に使っていると未読と既読でしか分類されない。ブックマークが 1,000 件くらいであればそれで十分だと思っていたのだが、いつの間にかブックマーク数は 10,000 件に近づき、既読に入っているページは混沌を極めていた。それに加えて、Pocket は日本語検索が貧弱なので「前に保存してた記事、なんだったっけな…」というときに発掘が非常に難しい。
気合いを入れてコレクションやタグで分類し直そうかとも思ったのだが、Pocket には日本語検索以外にもいくつかの不満を抱えていた。日本語の記事を保存したときにタイトルが表示されないことがあったり、Pocket から保存した記事に遷移したときに「?utm_source=pocket_saves」というパラメーターを勝手につけられたり、ウェブ版がダークテーマに対応してなかったりと微妙に不便なのだ。
というわけで心機一転、サービスを乗り換えてブックマークをちゃんと管理しようと思って、いくつかのブックマークサービスを試用して最終的に行き着いたのがカザフスタンの Rustem Mussabekov さんが やっている Raindrop.io である。
Raindrop.io はブックマークを保存するとき「Unsorted(未分類)」か「自分が作成したコレクション」に保存することになり、「Archive(既読)」という概念がない。Unsorted は未読で、既読のものは必ず分類を強制されるのだ。(もちろん「Archive」という名前のコレクションを作れば Pocket や Instapaper のような使い方もできるのだけれども、Raindrop.io の場合は既読管理に特化してないので既読マークする時の操作のステップが多い)
移行して良かったこと
- 10,000 件ほどのブックマークを、もう二度と読まないだろうなと思うものを削除し、3,000 件ほどまでに圧縮できた
- その整理をする上で、以前に読んで良かった記事と再会できた
- 必ず記事の分類を行うのでブックマークが格段に見返しやすくなった
移行して良くなかったこと
- ブックマークの保存日時がリセットされた
- いくつかのサービスのエクスポート・インポートで検証したけれども、保存日時が引き継がれるのは Pocket -> Instapaper くらいで、他のサービスはせいぜい保存順くらいしか引き継がれなかった
- Android だと「Raindrop.io にシェアしたときは自動的に Unsorted に保存」がたぶんできないので保存にワンアクション余計に必要になる
- PC や iOS だとできるのだけれども…
- 追記:アプリの Share Extension の設定から「Save automatically をオンにしたらできた
- Feedly の連携が用意されておらず、Pocket や Instapaper のように Feedly の Read Later 代わりには使えない。
- ブラウザ版では自分でシェアボタンを設定する必要があり、Android / iOS アプリ版では OS のシェア機能から利用するしかない。
- 読み終わったときの分類がダルい
- 迷わずコレクションを選べればそれほどネックでもないけれども、どこに分類しようか迷うタイプの記事が特にダルい
まとめ
ブックマーク数が数千単位になる人は最初から Raindrop.io でちゃんと分類したほうがたぶん良い。膨大にならない人も、Pocket よりは(一ヶ月ほど試用した感じだと)Instapaper の方がサービスの品質が高そう。