studio15

検索検定問題「死にたい」

最近、学校へGO!by侍魂,POPOI,じーらぼ! という本を読んでいたら、書籍の末尾の広告ページで同バジリコ社の「死にたい」が紹介されていた。

あぁ。あった、あった。

生活の中の小さな不幸を、たとえば書籍のサブタイトルから抜粋すると「告白回数=失恋回数。死にたい」といった感じの短文でネタとして消化する投稿型のおもしろサイトだ。

同ページの著者略歴を見てみるとこう書いてある。

タナトス> 979年福島県生まれ。2002年11月WEBサイト「死にたい」開設。2003年4月同サイト閉鎖。同年5月「死にたい」跡地にて「あきらめましょう」開設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

なんと、書籍化もされたサイトなのにずいぶん長い間思い出さなかったのは、開設後にすぐに閉鎖してしまったからか。

そんなにインターネットに登場してすぐに消えてしまった彗星のような素晴らしいサイトであれば、Internet Archive でもう一度見てみたい、と思った。

しかし Internet Archive で見るためには、まず URL を知る必要がある。

まあ、一般的な単語のみのサイト名でググりにくいとはいえ、書籍化もされた有名サイトだからキーワードを選別していけば見つかるだろうとタカを括っていたのだが、それは大きな間違いだった。

以下に思い出せる限りで検索した手段を記録しておく。(検索ワードのダブルクオーテーションは省略)

このあたりで、これらの延長線上で検索ワードのアプローチでは、おそらく見つからないだろうと観念し、抜本的に検索ワードを変えるべく Amazon の書籍ページをもう一度眺め直す。

そうだ、ISBN コードがある。 発売当時に2ちゃんねるなどに書籍のリンクを貼っている人もいるだろうし、Amazon の URL には ISBN-10 のコードが含まれているので、それで検索すれば見つかる可能性はある。 当時は ISBN-13 ではなく ISBN-10 が使われているはずなので、これでいけるだろうと「490178417X」で検索。 検索結果には書籍販売サイトばかりが続くが、最後に ネット発書籍データベース がヒット。 これだ。

ページの中身を見てみると、その名の通りネット発の書籍が一覧になっていて、丁寧にもすべての書籍に対して Amazon へのリンクと、元となったサイトへのリンクが張ってある。

ウェブサイト「死にたい」の URL は http://grayscape.org/shinitai/ だ。

ハイパーリンク、大事

この検索は本当に長い旅路だった。

インターネットが長く運用されていくにつれ「インターネット上のデジタルデータは永遠」というのは幻想だと気付かされ「インターネットの情報はすぐ消える」がみんなの共通認識となってからも、すでに長い年月が経っている。

もちろん Internet Archive を参照すれば、多くの静的なテキストデータは閲覧できるのだけれども、それでも見るためにはまず URL が必要だ。

WWW を構成しているのはハイパーテキストとハイパーリンクなんだ。ハイパーテキストの保存は Internet Archive が行ってくれているが、ハイパーリンクが失われてしまったら、保存されたハイパーテキストにたどり着くこともできなくなってしまう。

そんな当たり前のことに気付かされた検索体験だった。

しかし、先日は 時間のないサイト運営者リングのことを調べたり と、ぼくは完全に懐古主義のおじさんになってしまった、死にたい。

補足

書籍版「死にたい」はなぜか Kindle にはないけれども、他の電子書籍ストアだと取り扱いがあったので、買って中身を見てみたところ、サイトの URL は書かれていなかった。まあ、出版された時点で閉鎖していると言ってるのだから書かないか。(紙版は未確認)

ウェブサイト「死にたい」の URL はいくつか移転を繰り返していて、おそらく以下の URL すべてが公式のもの。明らかに「2003年4月同サイト閉鎖」以降も運営されているようなのだが、あの文はいったい何だったのか。